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2016年4月10日掲載 「デザインとアートの違い(1)」


私の本業は、アーティストではなく、デザイナーだ。グラフィックデザインを生業とする傍ら、「消しゴム彫刻家」として活動している。その為、知人にもデザイナーと、アーティストの両方が存在する。この二種は近くて遠い複雑な関係なのだ。私がある高校の授業で説明した時の内容を紹介する。「アーティスト」の目的は自己表現であり、美術館の壁に飾り、鑑賞してもらい、そこから観た人の感性を刺激するものである。いっぽう「デザイナー」の目的は問題解決であり、極端な話だが、デザインしたものが、お店の棚に並び、選んでもらい、そこから見た人の購買意欲を刺激するものである。(もちろんそれだけではないが、分かりやすく説明すると)つまりは、デザイナーは自分の意志は関係なく、クライアントの要望や問題を解決するために存在し、お客さまに買ってもらう事が目的で、綺麗だね、素敵だね、で終わってはダメなのだ。アーティストは、観る人との意見が違ってもそれでも成功したことになる。共感できなかったことも作家にとって、1つの良い結果だからだ。デザイナーは意見が食い違うことは致命的な問題だ。これほど両者の違いがあるのに、境目がとても曖昧だ。(続く)

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